2024年10月25日
エジプトの「救急医療体制」確立へ貢献
エジプトと本学が業務委託契約を結ぶ「病院前救急医療研修プログラム」(全10期)が5~7月に第6期目を終え、7月に初めてエジプト現地研修が実施されました。研修を主導する本学防災?救急救助総合研究所の植田広樹教授に、帰国後本プログラムについて伺いました。
7年目迎え進展も
植田教授は今回の現地研修で「研修生や通訳からエジプトの現状は聞いていたが、現地へ行ってやっと問題の本質を理解できた」と研修の成果を語りました。
その中でも、搬送時に車内で救命処置を担う隊員の増員と、出動要請が民間企業を経由して国の救急指令室に繋がれるという煩雑なシステムの改善が急務だといいます。
そして「エジプトには救急救命士の資格制度がなく研修が十分でないまま救急隊が現場に出ているのが現状。これを改善するには現隊員の研修や養成課程の役割を担うアカデミー設立が欠かせない」と植田教授は力強く述べました。
研修プログラムも後半に入り、植田教授は「これまでの研修生はみな学習意欲が高く、やる気に満ちている。現在も第1期研修生から研修プログラムの相談を受けており、着実にアカデミー設立の土壌作りは進んでいる。救急本部もカイロに新たに建設された。今回の研修で現地の救急本部関係者とも顔の見える関係性が築けた。エジプトの行政を動かすことは容易ではないが、この先も彼らの熱意と本学のノウハウを最大限生かし、エジプトの救急医療体制の確立に尽力したい」と述べました。
トップランナーとして
また、植田教授は「本学は救急救命士養成施設のトップランナーとして毎年多くの救急救命士を輩出し、大学院では高度な研究を進める環境も整っている。本研究所が教育研究以外の面で柔軟に動くことができるのも大きな強み」と語りました。
今後は毎回研修の最後に現地入りし進捗を確認するということです。プログラム終了まであと4期、植田教授らの挑戦は続きます。
病院前救急医療研修プログラム
日本とエジプト政府間で締結された「エジプト?日本教育パートナーシップ(EJEP)」に基づき、平成30年にエジプトと本学が業務委託契約を結び、今年で7年目を迎えました。エジプトの救急医療向上に向けた本学の取り組みは高く評価され、令和4年の第4期生の受け入れをもって契約終了するにあたっては、同国からの強い要望を受けるかたちで継続することが決まり、令和8年まで全10期生を受け入ることになりました。