Episode_5

実践的なリーガルマインドを
習得できる
斉木研究室の学び

インタビューの様子

法学研究科 法学専攻 教授 斉木 秀憲

斉木 秀憲Hidenori Saiki

法学研究科 法学専攻 教授※2024年取材当時

法学研究科?斉木研究室で学ぶ大学院生のほとんどは、税理士志望だ。業務のIT化やAIの進化の影響を大きく受ける職業のひとつと捉えられる「税理士」が、“デジタル化の波に飲み込まれない“価値ある存在として貢献し続けるためには、「実戦に役立つリーガルマインドを身につける必要がある」と斉木教授は考えている。 実践的なリーガルマインドを養うためには、何を、どのように学べばよいのか。入学検討者が集まる入試説明会&講義見学会を通じて、斉木ゼミの学びと、その魅力に迫ってみた。

Yes We Did !
必ず税理士になる覚悟でチャレンジを

講義見学の前に設定された説明会では、斉木教授から入試要項や法学研究科で学ぶ意義が以下のように語られた。 租税に対する解釈を深めるためには、民法や商法などを含む幅広い知識が必要であるため、租税法を“法律のひとつ”と捉えて広い視野で学んでほしいということ。また、法的判断の表明?実践に必要なリーガルマインド、法的思考力を身につけるためには、主に「法的三段論法」を養わなければならないということ。そのようにして習得したリーガルマインドが免除論文の作成に反映され、ひいては税理士の使命である“納税義務の適正な実現”と、日々の実務に役立っていくということ。

それらが、曼荼羅チャートをもとに次々と紐解かれていく。

入試要項の説明も表層的ではなく、提出書類である「研究計画書」には何を、どのようなスタンスで書けばよいのか、 また、小論文の試験に際し、どのように勉強を進めればよいのか、参考文献などを含めて事細かにレクチャーを受けられる。 自身も仕事をしながら大学、大学院で学んだという斉木教授の人間味あふれる想いと、租税に対する実直な熱意が色濃く反映された説明は、参加者の学ぶ意欲を喚起するだけでなく、大きな安心感にもつながったのではないだろうか。

仕事や家庭と並行しながら、2年間で修士論文を書き上げるのは容易なことではない。

「税法2科目免除に見合う論文を完成せるためには、それ相応の覚悟が必要です。“税理士になる”という強い覚悟を持って入学してほしい」と参加者にメッセージが伝えられ、説明会は終了した。

斉木 秀憲 教授

IT化の波に飲み込まれない
価値ある税理士になるために

説明会場から研究室に移り、授業の見学が開始。授業で取り上げられていたテーマは、「私法上の法形式の選択と課税」。税務訴訟の判例をもとに一人の学生が自身の見解を発表し、疑問点などを他の学生や同席するOBとともにディスカッションしながら、解釈を深めていく。

実際に行われた裁判の経緯や結果をまとめた「判例評釈」の研究は、実務に役立つ租税法の知識や考え方を養う上で欠かせない作業だ。判示された内容に関して、何を根拠に判断が下されたのか、一点一点読み解き、不明点や疑問点に関しては全員で意見を交わし合う。学生間で解釈が深まり切らないときは、斉木教授から新たな視点や切り口を引き出すための問いかけがなされ、それをもとにさらにディスカッションが展開される。例えば、「損金不算入」の判示であれば、どの条項の、どのような課税要件に基づいて事実認定が行われたのかを納得いくまで解明する。実務や論文に役立てるためには、判示と異なる角度から徹底的に検証してみることも大切だという。

このように、租税法及び税務訴訟の研究を通じて法の解釈を深め、デジタルでは代替できない実践力、運用力を育むのが、斉木研究室の特長だ。「数値をもとに申告書を作成するだけなら、AIによる自動化が可能でしょう」と斉木教授。「でも、表向きの数値を操作しているだけでは、“納税義務の適正な実現”は図れません。訴訟が起きた際、弁護士と連携して事実を紐解き、租税法を解釈適用していくのも税理士にしかできないことです。デジタル化の波に飲み込まれない税理士になるためには、法律に対する深い知識と解釈、それに基づく洞察力が必要だと考えています」

斉木 秀憲 教授

修了後も支え合える
かけがえのない仲間との出会い

見学後は、参加者からゼミ生、OBに対して、様々な質問が投げかけられた。入試に当たって、何をどのように学んだのか。入学後、どのようにして仕事と勉強を両立していけばよいのか。授業や発表の準備に、どの程度時間を費やしているのか。授業のない日でも大学に足を運んで勉強や調べものを行うことはあるのか。それぞれの質問に対して、ゼミ生やOBから多様な回答が示され、各々、ライフスタイルや仕事の状況、通学にかかる時間などに応じて、枠にはまらない学び方を実践していることが参加者に伝えられた。

「もちろん大変なときもありますが、仕事で疲れていても、ここに来れば皆に会えると思うと、よし、頑張ろうと元気がわいてきます。そう思える仲間に出会えたことが、“国士舘を選んでよかった”と感じる最大の理由です」とゼミ生が笑顔を見せる。何より心強く響いたのは、「仕事しながら皆さん無事に修了しているので大丈夫」というOBの言葉。「頑張ってさえいれば、斉木先生は必ず助けてくれます。個々の相談にも快く応じてくださるため、常に先生と意思疎通しながら研究を進めている実感が持てます。夜の時間帯に在室されている日が多いのも、社会人としては助かります(笑)。税法以外の先生方にも気軽に相談できるオープンな雰囲気で、非常に学びやすい環境です」

このように、OBとのつながりが強い点も斉木ゼミの魅力のひとつ。多くのOBが頻繁に研究室を訪れ、論文作成時もゼミ生の相談や読み合わせに応じている。修了後、税理士として仕事をするようになれば自ずと横のつながりは増えていくが、それでもやはり「大学院で一緒に議論した仲間の存在は大きい」と斉木教授は言う。「訴訟問題にかかわるときなどに、気兼ねなく何でも相談できる人がいるのは心強いものです。その点も大学院で学ぶメリットのひとつではないでしょうか。仕事を続けていく上で、OBや同級生の存在が支えとなる場面は多いと思いますよ」

OBによれば、修士論文の提出期限が迫る正月シーズンには、ゼミ生のために身体を犠牲にしてクタクタになっている 教授の姿が見られるという。自身の経験に基づく献身的な支えと手厚いサポートが得られる、斉木秀憲研究室。 学んでみたいと思う方は、ぜひ、授業見学で生の空気に触れてみてほしい。