Episode_3

学びが自由で開かれた校風
視野の広がりを実感する日々

インタビューの様子

于佳楠氏(ウジャナン)

于佳楠
(ウジャナン)

中華人民共和国出身
2023年入学
国士舘大学大学院
人文科学研究科 教育学専攻

アンギルマ氏

アンギルマ
 

中華人民共和国
内モンゴル自治区出身
2024年入学
国士舘大学大学院
人文科学研究科 教育学専攻

鈴木 江理子教授

鈴木 江理子教授
Eriko Suzuki

国士舘大学大学院
人文科学研究科
教育学専攻 教授

国際化が進む日本と世界のニーズに応え、外国人留学生を積極的に受け入れる国士舘大学大学院。在学中の留学生たちは、どのようなココロザシで学び、どのようなキャンパスライフを送っているのか。

その実態を探るべく、外国人留学生と同大学院の教授にクロスインタビューを実施。中国から留学生として国士舘大学大学院へ入学した于佳楠(ウジャナン)氏とアンギルマ氏、指導教員である国士舘大学大学院 人文科学研究科 教育学専攻の鈴木江理子教授が対談。上記のテーマについて意見を交わした。

視野を広げるための、
日本留学という選択

日本へ留学し、
教育学を学びたいと
思った理由を教えてください。

于佳楠氏(以下敬称略):私の両親は日本で中華料理店を経営しています。10歳の頃から両親と離れて暮らしていたため、近くで生活したいと思い、18歳の時に来日しました。若いうちから海外生活を経験し、視野を広げたいと思ったのも留学を決めた大きな理由のひとつです。

アンギルマ氏(以下敬称略):私は中国の大学で選択科目として日本語を学び、日本文化をもっと知りたい、と思ったのが留学を志すようになったきっかけです。当時の担当教授は10年以上の在日経験があり、「とても発展した国で、多くのチャンスがある。もし可能なら、ぜひ若いうちに留学して様々なことを体験してみてほしい」と、自身の体験談を交えながら話してくれました。もともと日本のアニメ作品などに親しみを感じていたため、授業を通して日本への憧れが高まっていきました。

于佳楠:来日後は、外国人に対して日本語教育を実施する「日本語学校」へ通いました。しかし、日本語学校は年齢の下限制限を設けているところが多いため、12歳、13歳などで来日した子ども達は地域の「日本語教室」というところへ通うケースが多く、毎日みっちり学べる日本語学校と比べ、学習時間が限定されていることを知りました。その事実を知り、外国ルーツの子ども達に対する日本語教育を研究したいと思ったのが、教育学を志した理由です。

アンギルマ:留学準備を進める中で、日本で暮らす内モンゴル自治区の人が非常に多いことを知りました。なぜこれほど多いのか、何を学び、どのようなことを目指しているのか。日本と中国の教育システムや社会環境の違いなども紐解きながら研究してみたいと思い、教育学や社会学の分野に関心をもちました。

インタビューの様子

留学生が多く、
グローバルで開かれた校風

大学院への入学にあたり
「国士舘」を選んだ理由を
教えてください。

アンギルマ:他大学で学ぶ留学生から薦められたからです。鈴木先生のこともご存知で、「あなたの学びたい分野なら鈴木先生がいいのでは?」と。

鈴木先生(以下敬称略):光栄です(笑)。お知り合いの方は、なぜ私のことを知っていたのですか?

アンギルマ:在日内モンゴル自治区出身者向けの進学サポート活動を行っている方なので、留学生に役立つ情報が多く集まるのだと思います。紹介されたあと、大学のHPを調べて、先生の研究領域と私の学びたい分野が一致していることを確認し、ぜひ入学したい、と思いました。

鈴木:私が専門とする領域は、移民や移民政策の研究。留学生の皆さんにとっては、まさに当事者の立場から“日本で暮らす”ということについて洞察を深めていただけます。

于佳楠:先生は外国ルーツの子どもだけではなく、日本へ移住した外国人に関連するあらゆる分野を対象に研究されています。鈴木先生の研究室なら、私が研究したい日本語教育の実態や、よりよい方向性を深く探っていけると思いました。

アンギルマ:国士舘では当科以外にも幅広い分野の研究が行われていて、友人からは「スポーツにも力を入れている」と聞きました。学生が利用できるプールやフィットネスセンターなどの施設も完備されていて、活気のある大学だと感じたのも志望理由のひとつです。

于佳楠:そうですね。私はオープンキャンパスに足を運んだとき、立地が良く、キャンパスがきれい。留学生を多く受け入れていて、グローバルで開かれた校風、という印象をもちました。卒業後の進路に関するサポート体制や奨学金制度も整っています。

インタビューの様子

行き届いたサポートで、
充実のキャンパスライフ

入学後、どのような留学生活を
送っていますか?

アンギルマ:入学前は、手続きの面などでわからないことがあったときはどうすればよいのか、先生や他院生と馴染めるのかなど、新生活に対するワクワク以上に不安や心配が大きかったです。実際に入学してみたら、どんな場面でも先生や事務の方たちが丁寧に対応してくださることをすぐに実感でき、みるみる不安は消えていきました。

于佳楠:ゼミ生6名がすべて中国籍なのもあり、勉強はもちろん、プライベートでも食事に行くなど、楽しい日々を送っています。企業説明会も皆で一緒に行きました。悩みや考え事があるとき、私は年上の方に相談することが多いですね。来日当初、友達を作ることに苦労していたときは日本語学校の先生に話を聞いてもらうことで乗り越えました。今も、就職活動に関して、大学のキャリア形成支援センターの先生に大変お世話になっています。

アンギルマ:大変なこと、困ることも少なくありませんが、そのような時は、まず問題の解決方法を考えるようにしています。気分が落ち込まないよう、自分で自分を調整することは大事ですね。

鈴木:母語ではない言葉を用いて、文化習慣が異なる社会で生活し、学んでいくのは大変なこと。でも皆さんそれぞれ、しかるべきコミュニティとつながりながら生活面での問題を解決できているようです。私も異国で学ぶ大変さに配慮しながら、研究面をサポートしています。

アンギルマ:国士舘のキャンパスは広大で、図書館、自習室などの学習する場所や食堂も多数あり、充実したキャンパスライフを送ることができます。恵まれた環境の中で、今はひたすら勉強とアルバイトに打ち込む日々。年に数回、友人と国内旅行をするのが息抜きです。

于佳楠:日本語学校のときと違って大学院では、ココロザシの近い人が集まっているため、意見交換を通じて自分のやりたいことが明確化されたり、新しい視点を与えられたりすることが多いです。

アンギルマ:他の院生たちも同じ国籍なので、話が深まりやすく、近しい関係を築けますよね。ともに学び、わからないことがあれば討論をしながら、力を合わせて頑張っています。たまに皆で外食に出かけることもありますが、いつも以上に話が弾んで本当に楽しいです。

于佳楠:授業や就職活動に精を出すかたわら、アルバイトと日本語教室での日本語ボランティアの活動にも力を入れています。来日して8年、レストランや居酒屋、衣料品店の販売など、様々な職種を経験しました。友達から紹介され、近々、他大学でティーチングアシスタントのアルバイトも始めます。

アンギルマ:私もコンビニや衣料品店でのアルバイトを経験しました。アルバイトを通じて学外に日本人の友達ができたのは大きな収穫です。食事に出かけて、いろいろな話をすると、日本文化への理解が深まります。

鈴木:留学生活を通じていかに成長できるか、という点で、アルバイトの経験は非常に重要だと考えています。アルバイトを通じて出会う人々から、学内では得られない刺激を受けて、視野を広げてほしいですね。

「国士舘」で学ぶ魅力は、
どのような点ですか?

于佳楠:魅力は大きく2点あります。1つ目は、学びが自由であるということ。専攻分野にまつわる知識だけではなく、ITや文学、保健体育などの科目も選択できます。範囲を限定せず、多分野の知識を学べるカリキュラムは大きな魅力です。2つ目は、就職活動のサポートが充実している点。進路相談はもちろん、模擬面接や資格講座など、手厚い支援を受けられます。私は実際に、模擬面接セミナーや個別相談など、たくさん利用しました。

アンギルマ:国士舘の学生たちは真面目に勉学や部活に取り組み、学校の秩序が良いと感じます。安心して勉強できる環境が保たれているのは、何よりの魅力ですね。掲示板やポータルサイトを通じて大学側から発信される情報も充実していて、欲しい情報をすぐに獲得できます。

インタビューの様子

キャリア形成支援センターが
就職活動をサポート

修了後の展望を教えてください。

アンギルマ:卒業後の進路はまだ絞り切れていませんが、日本の企業で働くことを希望しています。キャリア形成支援センターを通じて情報を収集し、インターンにも参加しながら“どのような分野で、どう働きたいのか”を、じっくりと見極めていきたいと思います。

于佳楠:私も就職活動を始めた頃はどのような道に進みたいのかわからず、キャリア形成支援センターに胸の内を正直に打ち明けました。そこで“まずは多くのインターンに参加してみましょう”とアドバイスを受け、約30社ものインターンに参加しました。その結果、“BtoBで、できるだけ多くの職種や業界と接し、多様な人とつながれる仕事に就きたい”と志向が明確化され、日本の商社への就職が決まりました。

アンギルマ:真摯に努力する姿勢と正直な態度、積極性があれば、良い機会、良い仕事に出会えるのが、日本社会の素晴らしい点だと感じています。
于佳楠:就職後も日本語教室でのボランティアは続けていきたいです。今も、日本のおとぎ話などを題材にした、子どもたちが親しみやすい教材を手作りしています。大学院で学んだ教育学の知識を、引き続き日本語教育支援に生かしていけたらうれしいですね。

国士舘で学ぶ留学生たちは、手厚いサポート体制と完備された教育環境のもと、安心?安全な留学生活を送り、充実したキャンパスライフを過ごしながら、着実に視野を広げている。
彼らにとっての国士舘であるべき理由それは「グローバルで、未来に開かれた校風」だ。