
佐藤 圭一さとう?けいいち
令和5年4月7日、式典会場となったパシフィコ横浜には「国士舘大学入学式」と表示された立て看板を背景に、記念撮影に興じる大勢の新入生?ご父母そしてご家族の嬉々とした姿がありました。きらめく春の息吹のごとく、新入生の満面の笑みからは最高学府という新たなステージへの期待とともに、猖獗(しょうけつ)を極めたコロナ禍の高校3年間を耐え抜いたことの安堵、そして解放感が伝わってきました。教職員一同、これからの学生生活が希望に満ち溢れ、実り多いものとなることを願わずにはいられません。
コロナ禍は漸く終息へと向かいつつありますが、世界は、気候変動、貧困格差、国際法を無視した軍事侵攻等、自らの生活や生命を脅かす困難で予測不可能な時代が到来しています。私たちは誰もが答えを用意することができず、また既存の答えでは対応できない時代を生きています。
こうした混迷の時代を生き抜くために、現在、本学では困難に耐えうる自律的人間(=課題解決型人材)の養成を目途として「全学共通教育科目」の設置を鋭意進めています。それは、総合大学としての本学の強みを生かし、これまで1~2年に設定されていた総合教育科目を全面的に改め、4年間を通して履修することによって、専門分野、文系理系を融合して考え判断する思考力、人間存在に関する深い洞察力、現実を適切に理解し人間らしく生きるための理性、異なった意見にも耳を傾ける寛容力などの開発と高揚を促します。また、本学の歴史、建学の精神?教育理念を学ぶ自校史教育の拡充を図り、より一層大学名にも冠した「国士」の養成に努めてまいります。
加えて、DX化が急速に進展する社会にあって、文系理系を問わず「データ分析や活用に必要な知識とスキル」を修得させ、社会課題の解決に生かすことのできる人材養成のため、今春からは「AIとサイエンス」を全学部で必修科目としました。
伝統とは時代に対応しなければ、その輝きは失われるものです。先人達が辛苦を重ねて築きあげてこられた尊い歴史と伝統を後世に継承させるために、そして国士舘大学が選ばれる大学であり続けるためにも不断の改革を実行してまいります。
略歴
1955年青森県生まれ
1979年国士舘大学政経学部卒業
1984年国士舘大学大学院政治学研究科政治学専攻博士課程修了、2006年博士(政治学)(国士舘大学)1984 年宗 教研究所助手として入職。1987年宗教文化研究所講師、2002年政経学部二部教授、2003年政経学部教授。2012年大学院政治学研究科長、政経学部政治学科主任を2期(2002年から2003年、2006年から2008年)、同学部教務主任を3期(2003年から2004年、2004年から2005年、2007年から2010年)務める
2015年12月国士舘大学学長に就任
2014年から比較憲法学会理事
2002年受賞学術賞:田上穣治賞(比較憲法学会)
専門はアメリカ政治史