中世文学(倉持)ゼミ―「世阿弥が制作した修羅物の能」考究

ゼミの内容について

 今回は、3年ゼミを紹介したいと思います。このゼミでは、主に二つの研究活動をおこなっています。
 第一に、1、2年生で学んできた古典文学の教養を存分に活かし、中世の芸能である「能」の台本である謡本(うたいぼん)を深く読み込んでいきます。2022年度は、能の大成者世阿弥が制作した、武将の霊が主人公となる「修羅物」の能をテーマにしています。発表者は辞典や注釈書を用いて解釈を行うと同時に、能のもとになった『平家物語』や『源平盛衰記』などの軍記物語、さらには中世の詩歌や仏教用語などのさまざまな文学?思想に触れつつ、自分なりの視点をもって、丹念に詞章を分析?考察しています。
 第二に、ゼミ生一人ひとりが興味?関心を持っている独自のテーマについて調査?考察した成果を発表し、質疑応答を通じて深く掘り下げていきます。この活動は、4年生になったとき、充実した卒業論文を執筆するための基礎研究として役立ちます。

ゼミの雰囲気と環境

和気あいあいとした雰囲気の中で、学問を楽しめる環境づくりに努めています。少人数のため、ゼミ生一人ひとりの役割は責任が重くなりますが、そのぶん研究とじっくり向き合うことができます。疑問に感じたことはすぐゼミ生同士で共有し、知恵を出し合って解決を目指すことができます。ゼミの中でやってみたいことを自由に主張でき、皆で協力して実現できるという長所もあります。

ゼミで大切にしていること

「現代における伝統芸能の価値を考えること」を大切にしています。現存する江戸時代の能の謡本を実際に手に取ってみたり、室町時代の人気曲から現代の新作能までを鑑賞したりする機会を設け、伝統文化の継承と革新の両方の重要性を学んでいます。