2024年03月16日
政経学部?菅原安彦教授の最終講義が行われました
政経学部?菅原安彦教授の最終講義「覚めた「酩酊」- 喫茶店とコーヒーと学習と -」が、3月9日に34号館A棟207教室で行われ、同学部教員らを中心に約30人が聴講しました。
講義に先立ち、政経学部の岩元浩一学部長があいさつを述べ、続いて岩見豊教授が菅原教授の経歴?業績を紹介し本学での功績を振り返りました。
最終講義は、教養学部教授時代から39年にわたり英語教育に携わった菅原教授が、背伸びをしてコーヒーを飲むべく喫茶店に通う大学生の行動を紹介するところから始まりました。
イギリス文化の専門でもある菅原教授はまず、コーヒーの特長や作用、ヨーロッパや米国、日本でコーヒーやカフェ文化が広がっていった歴史を紹介しました。
ヨーロッパでは酒場が社交の場とされていた時代から、覚めた状態でも高揚感、解放感を得られ明晰な考え方を継続することができるものとしてコーヒーの存在感が増していきました。コーヒーは別世界へいざなうものとして認知され、コーヒーハウスは人と接し、身分関係なく議論し、情報交換し、ビジネスチャンスを得る場に発展していきました。
日本では、喫茶店が時間を忘れて会話を楽しむ場として発展していきましたが、菅原教授は「現在のカフェは次第に簡略化され、コミュニケーションに言及せず自分の世界に浸れる場所としての需要が増え、別世界の体験は難しくなってきつつある」と話しました。
菅原教授は喫茶店とコーヒーを授業にあてはめ、「コーヒーは飲むものではなく、飲みに行くもの。オンラインによる授業は、コーヒーのテイクアウトのようなもので、教室内での雑音、他学生の声、教員の雑談など教育に付随する経験が省略されてしまう。コーヒーの美味しさを味わうには、味覚以外にも多くの感覚が必要で、教授するときも同じ。効率化して省略するのではなく、必要なプロセスを維持しなければならない。教員の仕事はクリエイティブな仕事で、アーティストと言えるのではないか」と話し、政経学部の教員らに「今までの力で変わらず学生を育ててほしい」と述べ、後を託しました。
政経学会の生方淳子学会長による閉会のあいさつの後には花束が贈られ、菅原教授は大きな拍手を受けながら教壇を降りました。
- 最終講義を行う菅原教授
- 開会あいさつを行う岩元学部長
- 菅原教授の経歴を紹介する石見教授
- 閉会のあいさつを行う生方学会長
- 最終講義を聞く教員ら
- 講義後の花束贈呈