大学院案内ガイドブック2019
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救急システム研究科73博士課程の授業科目の特色と教育研究方針現代の救急救命士にはさらに処置範囲の拡大が検討されるようになり、それを支える高度な医学知識と高い蘇生技術の実践が求められるようになってきています。そのためには、病院前救急医療従事者としての救急救命士を育成し、指導する人材や医学的有用性を証明する研究?分析能力を有する人材の育成が急務です。救急システム研究科博士課程では、人々の安全と安心、健康な生活を支えるために防災や救急などの病院前救急医療の質の向上にむけて全国の病院前救急医療の研究をリードする研究者の養成のため、また研究に必要な倫理観と豊かな医学的知識を養うことを主眼としています。育成する人材の到達目標博士課程修了においては本学の建学の精神を十分理解した上で、課程においての就学に努め以下に示すいずれかの目標に到達することを目標としています。 1.全国の病院前救急医療の研究をリードする高度な研究能力と豊かな学識を有し、病院前救急医学に対して研究者として科学的思考とともに自立した研究活動を行いうる能力有する者 2.救急医療崩壊が社会問題化している小児?周産期救急の問題点抽出や救急医療システムの問題点の抽出ができる者 3.外傷や高齢者生活習慣病の病態を理解し、疾病救急が増加している我が国の状況や救急の現場から病院内への搬送や、病院内での診断と治療の内容を理解し病院内外で救命処置を行いうる者 4.国内外での病院前救急医療分野の研究、海外での研究機関とのコラボレーションを含めて国際間における救急医療システムの違いを抽出できる者 5.災害時のマネージメントや国際救急救助や支援の在り方、防災システムの構築に関して研究し、それらの実践的政策立案者、指導者?研究ができる者 6.日本の救急統計やAEDに関連するウツタイン蘇生データなどのビッグデータの分析、抽出を通じて、病院前研究分野先進国として国際的にプレゼンテーション出来る者研究指導本研究科で養成する人材は、全国の病院前救急医療の研究をリードする高度な研究能力と豊かな学識を有し、病院前救急医学に対して研究者として科学的思考、倫理的思考とともに自立した研究活動をできうる、災害?防災危機管理能力を身につけた人材です。この目的を具現化するために、次の5つの特色ある研究指導をいたします。第一の特色は、病院前救急医療体制?救急医療に関する政策立案?実効検証現在医療崩壊が社会問題化している救急医療体制の問題点、小児?周産期救急の問題点抽出、病院前救急医療の改善、プレホスピタル(病院前救急医療)の学問体系「救急救命学」の確立が急務です。蘇生教育?蘇生のための高度救命処置技術の理解と実践、救急法学や救急における医療倫理などのバイオエシックス、病院前救急医学コミュニケーションなどに及びます。講義では国家資格を有するものでなければ把握できない問題を救急医療政策特別講義や救急医療体制システム特別講義で取り上げ、救急医療システムの問題点の抽出を図ると共に、その解決法を検討いたします。第二の特色は、病院前救急症候?疾病?病態?外傷分野(トラウマケア?コロナリーケアなどの)の生涯教育プログラムの確立救急救命士の専門的業務に従事し、指導的立場たる研究者の養成が博士課程の目的の一つです。全国の救急救命士所属機関が増えている現在、その研究を自ら行い、かつ研究指導できる者の養成は急務です。現場の観察?鑑別判断学などをベースとして病院前救急症候?疾病?外傷分野(トラウマケア?コロナリーケアなどの)の生涯教育プログラムの確立を通じて研究分野の確立を図ることを目標とします。第三の特色は、救急教育学?蘇生統計学を用いたリサーチフィールドの確立非医療従事者やヘルスケアプロバイダーへの心肺蘇生法や応急手当の普及は心肺蘇生法ガイドラインにも取り上げられる極めて重要なフィールドとなりました。この研究分野は、我が国では平成17年以来急速に発展し、本学大学院修士課程でも多く研究を進め世界にむけたウツタイン蘇生データ研究を発信、国際的に通用する医療人の養成を行ってきました。特に病院前救急医療分野の研究、国内外への学会発表などのプレゼンテーション能力の向上、海外研究機関とのコラボレーションを含めて海外救急演習による国際間における救急医療システムの違いを通じて問題点の解決と把握などを図ります。第四の特色は災害?防災危機管理マネージメント学の実践地球の温暖化の影響で自然災害が世界各国で頻発している中、危惧されているのが巨大地震?津波災害や風水害です。我が国ではこのような頻発する自然災害に加えテロ?バイオテロなどの人為災害も危惧される災害大国です。安全?安心な生活を暮すためには災害被害をできるだけ減らし災害?防災危機管理マネージメントを図らなければならず、災害時に犠牲者を最小限に留めるマネージメント方法が必要とされています。博士課程

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